電動車椅子の費用を公費で賄える制度があります ─ 補装具費支給制度のご案内

医療・福祉制度情報 / 2026年

電動車椅子の費用を公費で賄える制度があります
─ 補装具費支給制度のご案内

2026年掲載|根拠法令:障害者総合支援法

車椅子に乗る女性と看護師
Introduction

はじめに ─ この制度が注目される背景

電動車椅子は、身体に障害を持つ方が日常生活を送るうえで欠かせない移動手段です。ところが、電動車椅子(普通型 6.0km/h)の購入基準価格は329,000円(厚生労働省「補装具支給制度ガイドブック」)と高額で、患者さんやご家族にとって大きな負担になることも少なくありません。

そこで活用できるのが「補装具費支給制度」です。2026年現在も継続中の制度で、費用の大部分を公費でカバーできます。医療機関がこの制度を把握し、必要な患者さんへ案内することが、制度活用の第一歩です。


Background

なぜこの制度が設けられているのか ─ 医療現場が直面する課題

下肢機能障害や呼吸器・心臓機能障害、難病などを抱える患者さんの中には、「歩くのが難しい」「歩くと症状が悪化する」という方が多くいます。電動車椅子が必要だとわかっていても、費用が高いために導入をあきらめてしまうケースは、現場でも見られます。

さらに、「こういった公的支援があること自体を知らない」という患者さんやご家族も多いのが実情です。医療機関からの一言が、制度活用への大きなきっかけになります。


Overview

補装具費支給制度の概要(2026年現在)

制度名 補装具費支給制度
根拠法令 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)
目的 障害者・障害児の身体機能を補完・代替し、日常生活や就労・就学を可能にすること
利用者負担 原則1割(所得に応じた負担上限月額あり。低所得者は軽減措置あり)
支給決定主体 申請者の居住する市町村長
購入基準価格
(電動車椅子 普通型)
329,000円(厚生労働省「補装具支給制度ガイドブック」掲載値)
※ 補助の上限額ではなく「支給対象となる費用の上限額」
購入基準価格の正しい理解:
この329,000円は「補助の上限額」ではなく「支給対象となる費用の上限額」です。実際の支給額はこの基準価格を上限として計算されます。実売価格がこれを超える場合、差額分は全額自己負担となります。

Eligibility

電動車椅子の支給対象者

対象は小学校就学以上(学齢児以上)の方で、次のいずれかに当てはまる場合に支給が受けられます。

  • 重度の下肢機能障害等により、電動車椅子によらなければ歩行機能を代替できない方
  • 呼吸器機能障害・心臓機能障害・難病等により歩行に著しい制限がある方、または歩行により症状が悪化する方で、医学的所見から適応が可能と判断されるもの

※ 厚生労働省「電動車椅子に係る補装具費の支給について(障発通知)」に基づく基準です。


What Medical Institutions Can Do

医療機関が支援できること ─ 処方・連携のポイント

患者さんがこの制度をスムーズに使えるかどうかは、医療機関のサポートが大きく影響します。

意見書作成
医師意見書・処方箋の作成 申請には主治医による医学的所見の記載が求められます。「電動車椅子の適応あり」と判断できる根拠を診療録に残しておくことが重要です。
院内連携
MSW・相談支援専門員との連携 医療ソーシャルワーカー(MSW)や相談支援専門員と協力することで、患者・家族への制度説明や市町村窓口への申請サポートがスムーズになります。
機種選定
補装具業者・リハビリ専門職との調整 義肢装具士や理学療法士が適切な機種・仕様を選定し、業者と連携することで、患者さんのニーズに合った補装具の支給につながります。

Application Process

申請の流れ(常時受付)

一般的な補助金のように「申請期間」はなく、必要になったタイミングでいつでも申請できます。おおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 1
    市町村窓口への相談・申請
    本人または保護者が居住地の市町村(福祉担当課)へ相談・申請を行います。
  2. 2
    判定依頼(更生相談所等)
    市町村が更生相談所等に判定を依頼します。必要に応じて医師の意見書が求められます。
  3. 3
    市町村長による支給決定
    判定結果を踏まえ、市町村長が支給の可否を決定します。
  4. 4
    指定補装具業者からの購入
    支給決定後、指定補装具業者から購入します。利用者は費用の1割を負担します。
  5. 5
    市町村から業者へ補装具費を支払い
    市町村が業者へ補装具費(残り9割相当)を支払い、手続きが完了します。

Key Points

医療機関にとって重要な3つのポイント

1 「医師の意見書」が支給可否の要となる

支給の可否を判断する更生相談所や市町村は、医師の意見書を重視します。診断名・身体機能の状態・電動車椅子が必要な理由を具体的に書いておくと、手続きがスムーズです。

2 基準価格超過分は全額自己負担になる

支給されるのは基準価格(329,000円)までが上限です。希望する機種の価格がこれを超える場合、差額は全額自己負担になります。事前にご家族へ説明しておくと、後々のトラブルを防げます。

3 院内での情報共有体制が活用率を左右する

担当医だけでなく、MSW・リハビリ職・看護師も制度を知っておくと、適切なタイミングで患者さんへ案内できます。院内での情報共有がそのまま患者さんの助けになります。


Our View

弊社として感じていること

弊社は日頃から医療機関の環境整備やICT活用を支援する中で、現場と近い距離でかかわっています。そこで気になるのが「制度はあるのに、現場まで届いていない」というギャップです。

補装具費支給制度は長い歴史を持つ制度ですが、患者さんや医療スタッフへの周知が十分でないケースは今も見られます。正確な情報を必要な方へ届ける「橋渡し」も、医療機関の大切な役割ではないでしょうか。

弊社でも引き続き、医療機関の皆さまの参考になる情報を発信していきます。


Summary

まとめ

Summary

  • 補装具費支給制度は障害者総合支援法に基づく公的支援制度であり、2026年現在も継続中
  • 電動車椅子(普通型)の購入基準価格は329,000円。利用者負担は原則1割
  • 申請はいつでも可能(随時受付)。市町村窓口を通じて手続きを行う
  • 医療機関は意見書作成・院内連携を通じて、患者さんの制度活用を積極的に支援できる
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