医療機関のBCP対策、 補助金でどこまでカバーできる?

医療・介護分野向け BCP対策情報 / 2026年度

医療機関のBCP対策、
補助金でどこまでカバーできる?

2026年掲載|東京都「社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業補助金」等をもとに解説

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東京都「社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業補助金」の第2回募集が開始されました。
申請期間:令和8年7月21日(火)〜9月4日(金)必着。本事業は令和8年度をもって終了予定です。
Introduction

はじめに ─ BCP対策は「策定して終わり」ではない

医療機関にとってBCP(事業継続計画)の策定は、災害時にも診療・ケアを止めないための土台です。しかし計画を紙の上で作るだけでは不十分で、停電時にも設備を動かし続ける電源の確保など、実際に「動かせる備え」への投資が欠かせません。

こうした設備投資には相応の費用がかかるため、「BCPは策定したものの、非常用電源までは手が回っていない」という施設も少なくありません。今回は、そうした費用面の負担を補助金でどこまでカバーできるのかを整理します。


Background

なぜBCP関連の補助金が用意されているのか

災害時に医療・福祉サービスが止まってしまうと、利用者の安全に直結します。行政としても事業継続体制の底上げを図りたいという狙いがあり、東京都をはじめとする自治体では、非常用電源の整備など「ハード面」の投資を後押しする補助金を用意しています。

ただし、こうした補助金は「BCP対策全般」をまるごとカバーするものではなく、特定の設備・機器の導入費用を対象とする制度がほとんどです。まずはこの前提を押さえておくことが重要です。


Data

データで見る医療・福祉分野のBCP策定状況

内閣府「令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(令和6年3月公表)では、業種別のBCP策定状況が示されています。医療・福祉分野の内訳を見ると、次のようになっています。

医療・福祉分野のBCP策定状況(令和5年度) 策定済み 41.3% 策定中 36.1% 策定を予定(検討中含む) 10.2% 予定なし 9.0% BCPを知らなかった 3.4%
医療・福祉分野では、「策定済み」41.3%に「策定中」36.1%を加えると、77.4%がすでにBCP策定に着手しています。全業種平均(策定済み50.5%+策定中11.2%=61.7%)と比べると、「策定済み」の割合はやや低いものの、「策定中」の企業が多く、今まさに取り組みが進んでいる分野だとわかります。

また、BCPを策定済みの医療・福祉分野の企業に、計画に盛り込んでいる項目を尋ねたところ、次のような結果でした(複数回答)。

BCPに盛り込んでいる項目(医療・福祉、策定済み企業) 水・食料等の備蓄 100% 非常用電源・通信設備等の準備 91.8% 目標復旧時間の設定 58.2% 資金確保 13.7%

出典:内閣府「令和5年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(令和6年3月公表、調査時期:令和6年1月)。医療・福祉分野の回答数は他業種と比べて少なめ(有効回答28社、ウェイトバック後n=310相当)のため、傾向を示す参考値としてご覧ください。


Overview

代表的な制度:社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業補助金

実施主体 東京都
対象施設 都知事または都内区市町村長の指定等を受けた社会福祉施設等(入所系・通所系・訪問系・相談系等)
補助率 4分の3
交付条件 実績報告時までにBCP(事業継続計画)を策定していること
第2回申請期間 令和8年7月21日(火)〜9月4日(金)必着
事業終了予定 令和8年度をもって終了予定

出典:東京都「社会福祉施設等への非常用電源等の整備促進事業補助金」特設サイトに基づく(2026年7月時点の情報)。詳細・最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。


Coverage: Facilities

「医療機関」は対象になる?

この補助金の対象は、あくまで「社会福祉施設等」です。介護老人保健施設や地域包括支援センターなど、福祉分野の指定を受けている施設は対象になり得ますが、病院・診療所そのもの(医療法上の医療機関)は、この制度の対象施設に含まれるかどうかを個別に確認する必要があります。

医療機関に併設する福祉施設がある場合や、法人単位で福祉サービスも運営している場合は、その部分が対象になるケースもあります。「自施設・自法人がどの区分に該当するか」を、まず事務局や公式サイトで確認することが最初の一歩です。

Eligible Equipment

補助対象となる主な機器

対象施設に該当する場合、以下のような非常用電源関連機器が補助の対象になります(1施設につき1機器のみ選択)。

非常用電源設備 基準額500万円(最大375万円補助)
外部給電器 基準額80万円(最大60万円補助)
可搬型蓄電池 基準額40万円(最大30万円補助)

※ 補助基準額・対象機器は年度・制度によって変動します。上記は令和8年度の一例です。最新の対象機器・金額は公式サイトでご確認ください。


What's Not Covered

補助金では「カバーできない」部分

1 BCPそのものの策定作業

計画書の作成やコンサルティング費用は、この制度の対象ではありません。むしろBCP策定は交付の「条件」であり、先に取り組んでおく必要があります。

2 訓練・運用体制の整備

機器を導入しても、平時からの防災訓練や、保管場所・使用方法の共有といった運用面は施設側の取り組みに委ねられています。

3 通信手段の多重化や物資備蓄

電源以外の備え(衛星電話や無線などの通信手段、水・食料等の備蓄)は、この制度の対象外です。別の制度や自己資金での対応が必要になります。


Our View

弊社として感じていること

BCP対策は「計画を作ること」と「実際に機能する設備を持つこと」の両輪です。補助金は主に後者、それも電源設備などハード面の一部をカバーするものであり、BCP対策の全体像をすべて肩代わりしてくれるわけではありません。

とはいえ、非常用電源のような初期費用の大きい投資に補助率3/4という制度は、活用できるのであれば非常に大きな後押しになります。まずは自施設が対象になるかどうかを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。


Summary

まとめ

Summary

  • 東京都の非常用電源等整備補助金は、BCP対策のうち「電源設備」というハード面をカバーする制度
  • 対象は社会福祉施設等が中心。医療機関そのものが対象かは要確認
  • 補助率3/4、第2回申請は令和8年7月21日〜9月4日必着
  • 本事業は令和8年度で終了予定
  • BCP策定・訓練・通信手段の多重化などソフト面は補助対象外
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